事例6
東大阪で,型枠の製造販売会社を営む,代表のXさん。
Xさんの会社の株式は,Xさんが全部保有していました。
Xさんは,妻Bさんと結婚後,Bさんとの間に,子C・D・Eを授かりました。Bさんは,数年前に他界しました。
二男であるDさんは,Xさんの会社を手伝うため,Xさんの会社に入社し,現在では,社員からの信頼も厚い。
他方,C・Eは,大学卒業後に,東京の会社に就職し,Xさんの会社には一切関わりがありません。
検討
1 遺言を作っていない場合
相続人は,C,D,Eの3名。
相続分は,3分の1ずつ。
3者で遺産分割協議をすることに。
その結果,相続財産である自社株式も分散する可能性あり。
会社の後継者であるDさんが,発行済株式のうち相続分の3分の1しか株式を保有できない可能性も。
その場合,C・Eが結託すれば,3分の2に達するので,Dさんを追い出し,会社を乗っ取ることもできてしまう。
Oさんが,頑張って大きくしてきた会社が,相続によって,バラバラに。
2 会社経営者は遺言作成,相続対策が必須
・ 後継者に,適切に支配権が移転するように,遺言の作成が必須。
・ 遺留分の算定においては,株式の算定が重要
・ 但し,非上場株式の評価は難しいので要注意!
・ 株式の評価額が高額で,遺留分額相当の資産を用意できない場合もある
・ その場合には,生前に,無議決権株式又は議決権制限付株式を発行しておき,遺言で,当該株式を後継者以外の相続人に与えるのも一つ。