1) はじめに
事件に巻き込まれたことで、楽しいはずの一日が、全て台無しになる。
電車に乗れなくなり、夜間外出できなくなり、家から外に出て人と会うことが怖くなる。
家族を心配させ、迷惑をかけていると思うと、辛い。
傷は癒えたはずなのに、何をしても上手く行かず、何もやる気が起きない。
時間が経った今も、あなたの心や身体を苦しめているかもしれません。
また、最近では、経済の低迷もあり、身内による横領の相談が増えているように思います。
信頼していた従業員が会社のお金を使い込んでいた
マンションや自治会などの管理費を経理担当者が使ってしまった
信頼している人にお金を預けていたら知らぬ間に使っていた
当事務所では、犯罪に巻き込まれた人やそのご家族を、サポートしております。
ご相談いただく内容は、どれも繊細で、外部に漏れることがあってはならないものばかりです。
そのため、当事務所では、完全個室での法律相談を実施するとともに、皆様からお預かりした資料等の情報管理を徹底しております。
勇気を出して、無理に相談する必要はありません。
家族や友人知人以外の、自分を知らない人に話を聞いて欲しい。
少しでいいから弁護士の話を聞きたい。
そう思ったときに、お電話ください。
どんな相談やお話でもお聞きします。
そして、あなたを守り、あなたの代わりに加害者と交渉します。
以下では、犯罪に巻き込まれた場合にできることを、いくつかご紹介したいと思います。
2) 刑事告訴
① 刑事責任について
犯罪に巻き込まれた場合に、加害者の責任を追求する方法は、大きく分けて2つあります。
まずは、刑事責任の追及です。
人は、刑法やその特別法によって定められた罪を犯した場合には、それら法律によって定められた罰を受けることになります。
具体的には、警察によって逮捕や捜索、取調べなどを受け、捜査が終わると、検察官よって起訴されます。そして、起訴後、裁判官や裁判員が有罪又は無罪を、有罪の場合には更に刑罰を決めます。このようにして、犯罪を犯した者は、刑事責任を負うことになります。
② 全ての犯罪が捜査の対象となるわけではない
ただ、すべての犯罪が、捜査の対象とされる訳ではありません。
理由はいくつかありますが、まずは、犯罪が発生したことを警察が知らない場合があります。
また、犯罪が発生したことを知っている場合でも、全ての事件を同時に捜査することは出来ません。
そのため、警察は、手持ちの事件数や、被害結果の重大性、事件が社会に与える影響、被害者の処罰感情、証拠の有無や収集の困難さなどに基づいて、捜査する事件に優先順位を設けています。結果として、捜査の対象から外される、あるいは後回しにされる事件も出てきます。
③ 弁護士を通じて刑事告訴を行う
そこで、あなたが加害者に対する刑事責任の追求を希望するのであれば、警察が自発的に捜査してくれるのを待つのではなく、あなた自らが、積極的に被害を申告し、加害者の処罰を求めていく必要があります。
そして、ここで重要なのは、「弁護士」を通じて「刑事告訴」を行うということです。
まず、「刑事告訴」を行う必要があります。
似たものとして、被害届がありますが、被害届は警察に犯罪被害に遭ったということを報告するだけで、加害者の処罰を求めることは内容となっていないません。そのため、加害者の処罰を求めるのであれば、刑事告訴をしなければなりません。
また、「弁護士」を通じて行う必要があります。
もちろん、一般の方や、司法書士・行政書士でも刑事告訴をすることは出来ます。しかし、一旦、刑事告訴を受理すると、捜査機関には様々な法的義務が発生し、捜査機関内部でも慎重かつ積極的な捜査が求められるので、事件の内容によっては、なかなか、刑事告訴を受理してくれないことがあります。
そんな場合でも弁護士を通じて刑事告訴を行えば、刑事告訴を受理してもらえ、積極的に捜査してもらえる可能性が高くなります。
弁護士が刑事告訴を行う場合には、刑法や特別法が定める犯罪の成立要件(構成要件といいます)の法的解釈を前提に、これら構成要件一つ一つについて、当該要件に該当する事実が存在することを論理的に説明するとともに、それら事実の存在を証明する証拠を予め収集し、警察に提出します。
刑事告訴を受理してもらうためには、事実を整理し、構成要件に該当することを説得的に論じ、しかも、証拠を集める必要があるのです。そして、このような体裁を整えた刑事告訴をすることができるのは、弁護士だけなのです。
もし、あなたが犯罪の被害に遭遇し、積極的に加害者に対する刑事責任の追求を希望するのであれば、弁護士に依頼し、刑事告訴を行うのが得策です。
3) 被害者参加制度
また、刑事告訴により警察が捜査を開始し、その後検察官が起訴すると、裁判所で刑事裁判が始まります。
ここで、刑事裁判に関与するのは、判断権者である裁判官、処罰を求める検察官、被告人、被告人を弁護する弁護人、以上の4名です。
ここに被害者は入っていません。つまり、原則として、被害者は、刑事裁判に関与できないのです。
ただ、一定の重大犯罪の場合には、例外的に、刑事裁判に関与することが出来ます。
これが、被害者参加制度です。
具体的には、裁判所が許可すれば、公判期日に出席することができます。
また、検察官が裁判で行う活動について意見を述べ、説明を求めることができます。
さらに、情状証人や被告人に対し直接質問をしたり、事実又は法律の適用について意見を述べたりすることもできます。
裁判所の許可を要しますが、被害者が刑事裁判に関与することができる重要な制度です。
また、被害者参加制度の他に、被害者や被害者の遺族が法廷で、心情等の意見を述べることができる制度もあります。
いずれの制度も、被害者やその遺族が一人で行うことは難しいかもしれません。
そういった場合には、是非、弁護士に依頼し、サポートを受けてください。
もちろん、当事務所もこうした刑事裁判への参加をサポートしておりますので、刑事裁判への参加を検討されている場合には、一度、ご相談ください。
4) 民事責任の追及
犯罪に巻き込まれた場合に、加害者の責任を追求するもう一つの方法は、民事責任の追及です。
犯罪に巻き込まれたことで、あなたが被った損害の賠償を求めるのです。
犯罪により被った精神的苦痛はもとより、病院の治療費、通院に必要となる交通費、PTSDを始めとした後遺障害、会社を休んだことで失った給与、引っ越しの費用など、犯罪によってあなたが被った損害は多岐に及びます。
これら損害の賠償を求めて、加害者と交渉し、時には裁判をすることになります
ただ、犯罪に巻き込まれた時は、その衝撃や恐怖心、不安感に苛まれ、自分の心の平穏を保つことだけで精一杯のはずです。
あなたの家族も、あなたを支えることに集中したいはずです。
そんなとき、私たちは、あなたの力になります。
あなたに代わり、加害者に対し民事責任を追求し、加害者と交渉を行います。
また、重大事件の場合には、あなたやあなたの家族に代わり、報道機関等の窓口になります。
5) 損害賠償命令制度
なお、民事責任を追求する場合、加害者との交渉が決裂すれば、新たに裁判を起こす必要があります。
ただ、一定の重大犯罪については、犯罪被害者の被害回復を可及的速やかに実現するため、刑事手続の中で被害回復を図る制度が設けられています。
この制度を、損害賠償命令制度といいます。
具体的には、刑事事件の審理が行われている最中に、当該審理を行っている裁判所に損害賠償命令の申立てを行うことで、刑事事件の審理を行っている裁判官に、引き続き民事の損害賠償についても審理判断してもらうことができます。
この制度を利用すれば、刑事裁判を行った裁判官が刑事裁判で提出された証拠を下に審理するので、被害者側の立証の負担が大幅に軽減されます。
また、以上に加えて、審理期日が原則として4回以内とされているので、通常の裁判よりも、裁判が早く終わり、ひいては迅速に被害回復を図ることが出来ます。
損害賠償命令制度を利用できるのは、殺人や傷害、強制わいせつ、強姦、逮捕、監禁、略取誘拐などの特定の犯罪に限定されていますが、これら犯罪に巻き込まれた場合には、早期に被害回復を図るために、非常に有用な手段と言えます。