遺留分について

1) 遺留分とは?

 被相続人(亡くなった方)が遺言を残している場合に、自分の取り分だけ少なかったときは、どうしたらいいのでしょうか?

 例えば、父親が亡くなったときに、遺言に「長男と次男で半分ずつ分けるように。三男には何も残さない。」と書かれている場合や、「全財産を長男に譲る。」と書かれている場合です。

 このような場合、あなたが、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人であれば、「遺留分」、すなわち、「相続人に保障されている最低限度の取り分」を主張することが出来ます。

 なお、あなたが法定相続人に該当するかどうかは、民法が定めています。

 事案によって複雑な場合もありますので、分からなければ、是非遠慮なくご相談ください。

 

2) どうやって請求するの?

 次に、あなたが遺留分を請求するためには、どうすればよいのでしょうか。

 まず、遺留分を請求するには、内容証明郵便を用いて、相手方に請求するのが一般的です。

 法律上は、内容証明郵便に限定されておらず、口頭でも構わないのですが、内容証明郵便を用いる場合がほとんどです。

 これは、遺留分の請求に期間制限があることが関係しています。期間制限があるので、後から「言った」「聞いていない」といった水掛け論にならないように、内容証明郵便を用いるのです。

 

 そして、期間制限には2つあります。

 まず、遺留分は、「相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時」から「1年以内」に行使しなければ、消滅してしまいます。

 また、「相続開始の時」から「10年経過した時」を経過した時にも消滅してしまいます。

 少し難しいですね。ここでは、とりあえず、期間制限があるということだけ覚えておいてください。

 
 そして、被相続人が遺言を残していた場合に、自分の取り分が全く無いか、あるいは明らかに少ないような気がする場合は、早急に、弁護士に相談するようにしてください。

 遺言の内容を知って戸惑いつつも、なかなか言い出せずに、四十九日や納骨、百箇日などの法要で慌ただしくしていると、あっという間に期間制限を過ぎてしまいます。

 期間制限が過ぎてしまうと、遺留分を主張できなくなります。疑問に思ったら、できるだけ早く相談するようにしてください。

 

3) 遺留分で確保できる財産はどれくらいか?

 ここまで、遺留分を主張できる人、遺留分を請求する方法について述べてきました。最後に、遺留分で確保できる財産について簡単に触れたいと思います。

 あなたが遺留分で確保できる財産は、「遺留分の基礎となる財産の価額」に、「あなたの遺留分割合」を乗じる(掛け算する)ことで導き出すことができます。

 遺留分の基礎となる財産には、被相続人の資産や負債が含まれるのはもちろんですが、それだけでなく、特定の相続人が生前贈与を受けている場合で一定の条件を満たす場合には、その財産も含まれます。その他にも、加算されるものがありますが、ここでは割愛します。

 

 こうして列挙したそれぞれの財産を、金銭価値に換算し、その上で、あなたの遺留分割合を乗じます。

 遺留分割合は、あなたの法定相続分の2分の1です。ちなみに、被相続人の両親だけが法定相続人の場合は法定相続分の3分の1ですが、極めて稀な例です。

 

4) 最後に

 遺留分は難しい問題をいくつも含んでいます。インターネットを検索すれば、ある程度理解できるかもしれません。

 しかし、実際にいくらの遺留分を請求できるかは、事例によって種々様々ですので、遺留分を請求する場合は、必ず、私たちに相談してください。

 そして、最後に一つだけ覚えておいてほしいのは、期間制限があるということです。先程も述べましたが、遺留分には期間制限があります。

 遺言の内容を知って、少しでも疑問に思った場合には、できるだけ早く弁護士に相談してください。

 

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