家族など大切な方が逮捕された方へ

1) はじめに

 このページを見ている方は、大切な人が逮捕されたことに驚き、気が動転しているかもしれません。何をしたらいいのか、誰に連絡をしたらいいのか、パニックになっているかもしれません。

 まずは落ち着きましょう。あなたの家族が逮捕されたからといって、まだ何も確定していません。まだ、罪を犯したことが確定したわけではありません。

 あなたのご家族は、これから警察による取り調べを受けます。ご本人にとっては、精神的に辛く、長い時間です。他人のことが信じられなくなり、ときには家族のことまで信じられなくなってしまいます。

 ご家族の支えが無ければ、この試練に立ち向かうことはできません。

 どうか最後まで支えてあげてください。

 

2) 逮捕後の流れ(捜査段階)

 ここで、逮捕後、あなたの大切な人にどのようなことが起きるのかについて、大まかな流れを説明したいと思います。大きく分けると、捜査段階と公判段階にわかれます。

 

① まず、大まかな流れを説明します。

 逮捕されると、身体拘束された時から48時間以内に、検察官に送致されます。その後、検察官は、必要と判断すれば、被疑者の送致を受けたときから、24時間以内に、裁判官に被疑者の勾留請求をします。

 そして、裁判官が勾留を認めれば、勾留請求の時から、10日間、身体を拘束することができます。また、必要に応じて、さらに10日間身体拘束を続けることが出来ます。

 検察官は、勾留請求の時から最長で20日(身体拘束の時から最長で23日)以内に、起訴するかどうかを決めます。ここで、起訴猶予、嫌疑なし、嫌疑不十分のいずれかの理由により、不起訴処分となった場合には、釈放されます。また、処分保留で釈放という場合もあります。

 他方、起訴されると、約1か月後に、裁判所で刑事裁判が開かれます。なお、略式請求の場合には刑事裁判は開かれません。

 難しく書きましたが、要は、身体拘束された時から最長で23日間身体を拘束され、その間取調べなどを受け、その後、起訴又は不起訴の処分が決まるのです。

逮捕後の流れ(捜査段階)

② 次に、警察署内での生活について簡単に説明します。

 まず、警察に逮捕されると、ほとんどの場合、警察署の留置場という所で、寝泊まりすることになります。施設によって差はありますが一応冷暖房も完備されています。着るものがなければ貸してもらえます。食事は三食支給されます。

 持病がある場合は逮捕時などに申告すれば、多くの場合、かかりつけの病院に薬を貰いに行ってくれます。5日に1回程度、入浴することも出来ます。

 また、接見禁止という処分がついていない限り、時間制限や警察官の立会いはありますが、接見室で外部の人と面会することが出来ます。

 さらに、一定の制限はありますが、衣服や書籍、現金などを、差し入れることも出来ます。内容の確認を受けますが、手紙の授受もできます。 

逮捕後の流れ(捜査段階)

③ 最後に、逮捕された場合に大切なことをお伝えします。

 逮捕されると、弁護人を選任することが出来るようになります。知り合いに弁護士がいればその弁護士を呼んでもらうことが出来ます。

 また、同居の親族等に逮捕された事実を告げて欲しいと警察に言えば連絡してくれますので、連絡を受けたあなたが弁護士を見つけて、その弁護士を弁護人に選任することもできます。さらに、弁護士会を通じて当番弁護士の派遣を依頼することもできます。

 このように、逮捕されると弁護人を選任することができるようになるのですが、ここで、大切なことは、できるだけ早く弁護人を選任し、弁護活動を開始してもらうということです。

 

⑴ 本人が罪を認めている場合

 ご本人が罪を犯したことを認めている場合(いわゆる自白している場合)は、不起訴処分(起訴猶予)を獲得するために、一刻も早く被害者と接触し、示談交渉を始めなければなりません。

 身体拘束された時から起訴又は不起訴処分が決まるまで、最長でも23日間しかありませんので、早く交渉を始めなければ、上記期間内に示談まで至らず、結局、起訴されてしまうということもあります。

 また、不起訴処分を確実に獲得するために、必要に応じて、検察官と面談したり、釈放後の再犯防止策を用意したりすることも必要になります。特に、薬物依存や、窃盗癖などの事案では、これら再犯防止策を講じることが重要となります。

 

⑵ 本人が否定している場合

 他方、ご本人が罪を犯したことを否定している場合(いわゆる否認している場合)は、一刻も早く弁護人が接見を行い、取り調べにおける黙秘権や、調書へのサインを拒否する権利、調書にサインする前に調書の内容を読んで聞かせてもらう権利、読んでもらった内容に誤りがあれば訂正してもらう権利など、これらの権利があることをご本人に一刻も早く伝えなければなりません。

 警察官による取り調べが行われ、調書にサインをしてしまってからでは、手遅れになる場合があります。

 さらに、否認事件の場合には、自白を獲得するため、警察官は連日連夜、取り調べを行いますので、精神的に非常に厳しい状況に追い込まれます。時には、暴言や暴力を受けたり、あるいは、罪を認めれば処分が軽くなるといった嘘の説明をすることもあります。

 そのため、弁護人が毎日、接見を行い、ご本人を精神的支えとなるとともに、取り調べの内容や様子を逐一確認していく必要があります。

 また、身体拘束からの解放を求めて、勾留理由の開示請求、勾留決定に対する準抗告、勾留の取消しの申立てなどを行っていく必要もあります。

 加えて、ご本人が罪を犯していないことを裏付ける証拠がないか、探す必要があります。

 

3) 公判段階

① 次に、公判段階の流れについて説明します。

 まず、検察官が起訴すると、約1か月後に、裁判所で刑事裁判が開かれます。刑事裁判の期日のことを、公判期日と言いますが、ご本人が罪を認めている事件であれば、ほとんどの場合、第1回の公判期日で審理が終了します。

 第1回の公判期日から早くて2週間程度、長ければ1カ月程度先に、第2回公判期日が開かれ、判決の言い渡しがなされます。判決の言い渡しを受け、不服がある場合には判決の言い渡しを受けた日の翌日から14日以内に高等裁判所に控訴することになります。

 以上が、公判段階の大まかな流れです。なお、審理の流れや裁判員裁判の場合などについては、また改めて説明をしたいと思います。

 

 なお、検察官が行う起訴には、上記で述べた正式裁判以外にも、即決裁判や略式裁判がありますが、このうち略式裁判については、法廷での審理は行われませんので、正式裁判よりも圧倒的に早く処分が決まります。

 略式裁判は、検察官の請求により、簡易裁判所の管轄に属する100万円以下の罰金または科料に相当する事件について、被疑者に異議がない場合に行われます。

逮捕後の流れ(捜査段階)

② 最後に、保釈請求について説明します。

 起訴までは、各警察署の留置場で身体拘束を受けているのですが、起訴されてしばらく経つと、拘置所という所に移動することになります。ただ、いずれにしても、何もしなければ、裁判が終わるまで、身体拘束は続きます。

 そこで、重要となるのが保釈請求です。

 保釈請求とは、法律が定める一定の要件を満たす場合に、刑事処分が決まる前に被告人を釈放する制度で、身体拘束から解放するための重要な手段です。

 なお、保釈請求を行う場合には、保釈保証金というお金を用意しなければなりません。ご本人及びご家族がお金を用意できない場合でも、代替手段はありますので、諦めずにご相談ください。

 

4) 最後に

 刑事事件では、特に捜査段階で迅速かつ的確に弁護活動を行うことが極めて重要です。

 当事務所に、ご依頼いただければ、土日夜間問わず直ちに接見を行い、不起訴処分(場合によっては略式裁判)を獲得するために、迅速かつ的確な弁護活動を行います。

 また、刑事事件は目まぐるしく状況が変化しますので、ご家族と連携を取りながら、逮捕された方を全力でサポートいたします。

 あなたの大切な人が逮捕されて不安に思っている方は、すぐに当事務所までお電話ください。

 

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