今回の民法改正で、自筆証書遺言に関しても大きな改正がおこなわれました。
一つ目は、自筆証書遺言の方式の緩和です。
自筆証書遺言は、法律が定める要件を満たさなければ、有効な遺言とはされません。
そして、改正前であれば、以下の4つが要件とされていました。
① 遺言書全部を自分で手書きすること
② 遺言書を作成した日付を自分で手書きすること
③ 氏名を自分で手書きすること
④ 押印すること
以上の4つです。
今回の改正で、①の要件が緩和されました。
具体的には、遺言書のうち、相続財産の目録については、自書を不要とし、パソコン等で作成することが許されることになりました。
ただし、いくつか要件があります。
⑴
まずは、繰り返しになりますが、自筆が不要となったのは、財産目録のみです。誰に何をあげるといった本文については、自筆でなければなりません。
なお、財産目録というのは、まさに文字通り財産を列挙するものだけでなく、遺産となる不動産の登記事項証明書の写しや、預貯金の通帳の写しでも構いません。要は、財産が特定されていれば問題ありません。
⑵
次に、遺言書の本文と財産目録を一体のものとして作成する必要があります。
具体的にどうすればよいかについては法律は定めていませんが、例えば、遺言書の本文と財産目録を全てまとめてホッチキス留めする方法が一般的です。あとは、各頁に契印する方法や、封筒に入れて封印する方法などがあります。
⑶
また、財産目録の中のある頁について、自筆による部分と印刷による部分を混在させてはいけません。全て自筆にするか、全て印刷による必要があります。
⑷
さらに、添付した財産目録には、全ての頁に署名押印をする必要があります。
1つの紙の両面に記載がある場合には、その両面に署名押印をする必要があります。
以上のように、自筆証書遺言の方式が一部緩和されました。
緩和の要件については、注意しなければいけないところも多々ありますので、作成後には、かならず弁護士に中身を確認してもらいましょう。