事業承継のイロハ「従業員承継のポイント」

次に、従業員に事業承継するケースについて紹介したいと思います。

 

1 オーナーチェンジか雇われ社長型か

従業員承継と一口に言ってもいろいろあります。

まずは、株式そのものを従業員に譲るパターン(いわゆるオーナーチェンジ型)

あとは、株式は譲らずに、代表権のみを従業員に譲るパターンがあります

後者は、いわゆる雇われ社長型です。

 

2 それぞれの問題点

① オーナーチェンジ型

前者の場合には、従業員が株式を取得するための資金調達をどうするかが問題となりやすいです。

後者の雇われ社長型の場合には株式を取得する必要がないので、この問題は起こりません。

 

② 雇われ社長型

雇われ社長型の場合には、株式の保有を継続するオーナーについて、相続が発生した場合には、株式が分散するリスクがあります。

そのため、株式が分散しないようにするとともに、分散した場合に分散した株式を集められるように対策をする必要があります。

例えば、先ほど紹介した、相続人等に対する株式の売渡請求権の制度を導入する方法などがあります。

 

3 経営者保証をいかに承継させないか

また、現実問題として、代表者の保証がハードルになるケースもあります。

通常、経営者を交代する場合に、金融機関は、新経営者に対して、既存借入に対する保証を求める傾向にあります。

そのため、従業員承継の場合に、承継をしようとする従業員にとっては、個人で多額の借入の保証を行うことの抵抗はかなり大きく、この理由で従業員承継が実現できない場合あります。

 

こうしたニーズに応えるため、2013年12月に「経営者保証に関するガイドライン」ができました。

このガイドラインはさまざまな内容が含まれているのですが、その中の一つが、事業承継時の既存借入について保証契約の締結を当然の前提としないということです。

主たる債務者や後継者には、資産状況や事業計画等の適時適切な開示が必要など、様々なハードルがありますが、それらを実行することで、従業員承継において、後継者が既存の借入について保証するという従来のハードルを越えることができる可能性があります。

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