養育費の不払い,債権回収に朗報!!(その2)

前回の投稿で,新しく,第三者からの情報取得手続ができることをご紹介しました。

そして,その手続きのうち,「預貯金債権等の情報取得手続」については,高度の密行性があると説明しました。

 

ただ,悩ましいのは,この申立てをするためには,債務者への債務名義の正本又は謄本の送達が必要であるという点です。

例えば,協議離婚の際に公正証書を作成したとします。

多くの場合,公正証書を作成すると,すぐに,公正証書を相手方に送付する「送達」という手続をします。

送達がなされると,「送達証明書」の交付を受けることができます。

相手方が公証役場に出頭して公正証書を作成した場合には,その場で,公正証書を相手方に送達しますので(交付送達),すぐに送達証明書の交付を受けることができます。

また,相手方の代理人が出頭して作成した場合には,その後すぐに相手方の住所地等へ郵便で送る特別送達をしているはずですので,送達証明書の交付を受けているはずです。

 

問題なのは,この送達証明書を紛失している場合です。

紛失している場合でも,公証役場では10年間保管してくれますが,10年以上前に公正証書を作成した場合には廃棄されます。

そのため,改めて送達手続を行わなければならず,その結果,相手方に「これから強制執行の準備を始める」ことが伝わってしまいます。

送達証明書は,公正証書の原本と一緒に大切に保管しておいてください。

 

また,公正証書の中には,特定の事実の到来を条件に効力を発生させるような条項が含まれている場合があります。

その場合に,債権者が公正証書に基づいて強制執行を行うためには,債権者が当該事実の到来したことを証明する文書を提出して,条件成就執行文(事実到来執行文)を取得する必要があります。そして,その上で,執行文の写しを,債務者に送達する必要があるのです。

そのため,この場合には,相手方に「これから強制執行の準備を始める」ことが伝わってしまいます。

公正証書を作成する場合には,条項の効力発生について条件を付すことはできる限り避けるべきと言えます。

 

以上は,公正証書に基づく強制執行一般に妥当する話ですので,公正証書を作成する場合には,上記点に留意して作成するようにしましょう。

なお,公証人はアドバイス等は行いませんので,弁護士を通じて公正証書を作成するのが無難です。

 

トップへ戻る

0120-483-026 問い合わせバナー